I'd Love To Change The World
Ten Years After

シャーロック/忌まわしき花嫁(2016)
SHERLOCK・THE ABOMINABLE BRIDE ~に寄せて
付録: シャーロック・ホームズ読書感想記録
皆様、こんにちは。
めとろんです。
「めとLOG~ミステリー映画の世界」は様々な紆余曲折を経て、2016年2月15日で開設10周年を迎えました。思えば、2006年2月15日に軽い気持ちでブログを始めてから家族が2人増えて、生活も劇的に変化しました。また、当初のLOVELOGの閉鎖に伴って、現在はSeesaaブログ様のご厄介になり、現在に至ります。
記事の数は181件。10年間の総アクセス数はざっくり100万アクセス位でしょうか。
このブログに足をお運び頂き、また応援して頂き、大変にありがとうございました!
これからも、何卒よろしくお願い致します。
さて、昨日はTOHOシネマズ錦糸町にて『シャーロック/忌まわしき花嫁』を鑑賞してきました。
《 Story 》~公式サイトより~
1895年、冬のロンドンー
トーマス・リコレッティは、古いウェディング・ドレスをまとった妻の姿を見て驚きを隠せなかった。なぜなら彼の妻は、数時間前に自ら命を絶ったばかりだったのだ…。
リコレッティ夫人の幽霊は、癒されることのない復讐への執念とともに路地を徘徊する。
霧に覆われたライムハウスから荒廃した教会の路地に至るまで、ホームズとワトソン、そして彼らの友人たちは、冥界からやってきた敵を相手に頭脳戦を繰り広げる。
そしてついに明かされる”忌まわしき花嫁”の驚くべき真実とは…!
ヴィクトリア時代のロンドンで、冥界からの敵にホームズとワトソンはどう挑むのか?
謎解きも冒険も特別編ならではの面白さ!そして、いつの時代でも変わらぬふたりの友情も見逃せない!~
現代を舞台にネット環境や携帯電話等、最新機器を駆使しつつ原作への敬意も忘れない巧みな脚色、そして何よりシャーロック・ホームズを演じるベネディクト・カンバーバッチと、ジョン・ワトソンを演じるマーティン・フリーマン中心に、イギリスならではの分厚い実力派俳優陣の魅力で大ブレイクを果たした『シャーロック』。
今回は、英BBCで今年1/1に放送された特別編THE ABOMINABLE BRIDEを、クリエイターであるスティーヴン・モファットやマーク・ゲイティスによる解説&メイキング映像も併せて劇場公開して頂けるという太っ腹。公開日翌日に、勇んで足を運んだというわけです。
いつもと違い、ヴィクトリア朝を舞台とした独立した完全なるスピンオフという予想は覆ることになりました。確かにシーズン3から4へと繋ぐ、ブリッジとなる作品です。いつも通りのキャストたちの軽妙なやり取りも楽しく、特に前半は本シリーズのパロディといった趣きで、正典-シャーロック-特別編の、虚構からさらに新しい虚構へと発展していく関係性が裏テーマとも感じられ、何とも興味深い点ではあります。

※以下、作品内容のネタばれを含みます!…既に鑑賞した方のみお読みください…
『ドクター・フー』にも関わるスタッフだけに、SF的センスにも長けているものか、『スター・トレック』のモリアーティ教授のエピソード的なヴァーチャル・リアリティ設定だったらどうかなあ…と心配していたら、幸いにもフィリップ・K・ディックを連想させる、ドラッグによる脳内の過去再構築という趣向で、『うる星やつら/ビューティフル・ドリーマー』の如き(虚構内)現実と虚構が錯綜するアヴァンギャルドな構成には目を瞠りました。
(ちなみに、夢から醒めるに至るプロセスは、やはり「落下」なのですね。)
そういった意味では、本格ミステリの側面が割をくった印象は拭えず、そういった醍醐味とは少々、狙いを異にするエピソードであったのであろうと感じたのです。
さらに苛烈さを増すであろう次シーズンに至るシャーロックの内面世界を(特にドラッグに関して)掘り下げ、かつ正典との正当なる血脈相乗者であることを改めて表明した作品。…第一印象としては、そんな風に思いました。
【 付録:シャーロック・ホームズ読書感想記録 】

◆さて、今回ヴィクトリア朝時代の、ガス燈の灯りに照らされ佇むシャーロック・ホームズの勇姿を目の当たりにして、やはり聖典は良いなあ…と改めて感じました。そこで、昨年シャーロック・ホームズの聖典全編を読んだ際、備忘録的に記した読書感想メモを、恥ずかしながら添付しておこうと思います。
使用したフォーマットは、以下の通りです。
シャーロック・ホームズ読書感想記録
◎作品名
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ☆☆☆☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ☆☆☆☆☆
③トリックの面白さ ☆☆☆☆☆ ( )
④物語の面白さ ☆☆☆☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ☆☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ☆☆☆☆☆
⑨総合評価 ☆☆☆☆☆
【ひとこと感想】
…本を読んで、いつもこのようなメモを取るわけではないのですが、歳を重ね、物忘れがどんどん酷くなる昨今、文字通り備忘録として記したものです。採点項目は、あくまで僕が感じた部分ですので、皆さまそれぞれにお気に入りの作品や異論もあるかとは思いますが、こんな風に考える人もいるものかと、ご理解のほどよろしくお願い致します。
尚、ネタばれと思われる箇所は白黒反転してあります。
長編
◎作品名 緋色の研究

①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★☆
1番好きなキャラ (ジェファースン・ ホープ)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (ダイイング・メッセージの偽造)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★★★★
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
記念すべき第一長編!2部構成、後半の冒険譚が面白く、犯人の悲哀も胸に迫る。
長編
◎作品名 四人の署名

①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★★
1番好きなキャラ (メアリ・モースタン )
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (密室殺人→小柄な現地人)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆
⑥奇妙な味度 ★☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性 ★★★★★
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
第2長編。ワトソンとメアリーの出会いと結婚。現地人による密室殺人トリックは、江戸川乱歩『孤島の鬼』に影響か。ジョーンズ警部、ベーカー街遊撃隊の登場、水上チェイス、ホームズとワトソンのキャラもいきなり充実。サービス満点!
『シャーロック・ホームズの冒険』

◎作品名 ボヘミアの醜聞
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★★
1番好きなキャラ (やっぱりアイリー ン・アドラー)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (ホームズの変装と発煙筒のひっかけ)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★☆☆☆
⑦冒険・アクション性 ★★★★☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
とにかく最強ヒロイン、アイリーン・アドラーの魅力と、彼女へのホームズの眼差しに痺れる。ホームズの変装と、大人数を繰り出しての大芝居は面白い。
◎作品名 赤髪連盟
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ
(ヴィンセント・スポールディング)
③トリックの面白さ ★★★★★(奇抜な銀行強盗)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★★
⑦冒険・アクション性★★★★☆
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★★
【ひとこと感想】
赤髪の人間を高給で雇う「赤髪連盟」の発想と、その流れるような展開は完璧。終盤、いきなりのアクション勃発と、犯人のひとをくった肖像も素晴らしい。
◎作品名 ボスコム渓谷の惨劇
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ジョン・ターナー)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (ダイイング・メッセージ「ア・ラット」鼠 、足跡)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★★☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
「一緒に行こうよー」とワトソンに甘える ホームズ、「行ってきな」とワトソンを送りだすメアリーがまず楽しい。死刑判決を受けそうな容疑者を救うホームズ、細かい検証で他の可能性を探るプロセスがミステリの醍醐味に溢れ、好みの一本。
◎作品名 五個のオレンジの種
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ (ジョン・オープン ショウ)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆
(秘密結社による殺人、手紙と殺人の時間 差が手がかり)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ★★★★★
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
秘密結社(クー・クラックス・クラン)による 殺人の恐怖。殺人者たちの魔の手が迫るサスペンスは比類なく、また舌にザラつきが残るような、曖昧な結末が恐ろしい。
今回の再読で、その魅力を再発見した作品。
◎作品名 唇のねじれた男
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ネヴィル・シンクレ ア)
③トリックの面白さ ★★★★☆ (被害者=犯人の一人二役)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆
⑥奇妙な味度 ★★★★★
⑦冒険・アクション性★☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
カタギの職業より、乞食こそ富を得る職業というパラドックス。シンクレア夫人が一瞬目撃した夫の姿、小銭がポケットに入った上着、窓枠の血、妖しげな阿片窟…怪奇なお膳立てが強烈。なかなか真相に行き着けず、焦燥するホームズが人間的で、却って魅力的。
◎作品名 青い紅玉
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ☆☆☆☆☆
1番好きなキャラ (ピータースン)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (宝石の意外な隠し場所)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ☆☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★★
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
クリスマス・ストーリー。鵞鳥の出処をひたすら追う物語は、意外な着地を。ホームズの意外な、人情家の一面を発見できる。
◎作品名 まだらの紐
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★☆
1番好きなキャラ (グリムズビー・ロイロット)
③トリックの面白さ ★★★★★(密室殺人→ 蛇)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★★★☆
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★★
【ひとこと感想】
改めて傑作。犯人の毒々しい強烈さ。口笛、牛乳の皿、使えない呼び鈴と通風孔…多くの巧みな手がかりと、ジプシー及び"まだらの紐(バンド)"の目くらましも素晴らしい。全編を覆う怪奇で不吉な予感、強烈な暗いサスペンス、凛々しきホームズ、ワトソンの活躍。さすが、文句なし。
◎作品名 技師の親指
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★☆☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ (ヴィクター・ハザ リー)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆
(水力技師が圧搾機の故障で呼ばれる→贋 金作りだった)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★☆
⑦冒険・アクション性★★★☆☆
⑧結末の意外性 ★★☆☆☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
水力技師ヴィクター・ハザリーの奇妙な冒険譚が大半を占めるが、ホームズがその本拠地の場所を推理する部分は面白い。
◎作品名 独身の貴族
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ハティ・ドーラン)
③トリックの面白さ ★★★★☆ (花嫁の謎の失踪)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ☆☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
結婚式直後の、花嫁のいきなりの失踪と云う地味な事件ながら、"人間消失"的な雰囲気を感じさせるトリック、「見たままの事実は真実とは限らない」錯覚のミスディレクション、ホテルの明細のヒントも素晴らしい。これは意外な掘り出し物!
◎作品名 緑柱石宝冠事件
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★☆☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (アーサー・ホール ダー)
③トリックの面白さ ★★★☆☆
(緑柱石の宝冠の盗難事件)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
犯人(共犯者)の意外性は、心理的盲点をよく衝いている。雪に残された足跡から、ことの一部始終を明らかにする、ホームズの推理が鮮やかで素晴らしい。
◎作品名 花婿の正体(花婿失踪事件)
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ ( メアリー・サザーランド )
③トリックの面白さ ★★★☆☆ (一人二役、タイプライターの字の特徴が決め手)
④物語の面白さ ★★☆☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ☆☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
一人二役トリックは今となっては単純だが、タイプライターの字の特徴という証拠は当時、新手だったのでは。鞭を手に、犯人に怒るホームズが印象的。犯人の冷酷さは際立つが、何の鉄槌も下されないのは歯がゆい。
◎作品名 ぶなの木立ち(ぶな屋敷)
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★☆
1番好きなキャラ (ヴァイオレット・ハ ンター)
③トリックの面白さ ★★★☆☆ (不思議な仕事の依頼→監禁)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ★★★★☆
⑦冒険・アクション性 ★★★☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
不思議な仕事の依頼パターンともいうべき好短編。途方もない高給の家庭教師、決まった服を着て、髪を切る。開かずの間。妖しげな雇い主夫婦…おどろおどろしい恐怖とサスペンスが横溢。奇妙な犯罪にまきこまれるハンター嬢も魅力的だ。
★シャーロック・ホームズの冒険私的ランキング
1まだらの紐
2赤髪連盟
3ぶなの木立ち
4唇のねじれた男
5ボヘミアの醜聞
6五個のオレンジの種
7ボスコム渓谷の惨劇
8独身の貴族
9技師の親指
10青い紅玉
11緑柱石宝冠事件
12花婿の正体
『シャーロック・ホームズの回想』

◎作品名 黄色い顔
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★☆
1番好きなキャラ (エフィ・マンロー )
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (妻の不可解な行動を解く)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆
⑥奇妙な味度 ★★☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
ホームズの失敗譚。パイプから依頼人を推理する冒頭のくだりが面白いし、妻の不可解な行動はミステリアスでサスペンス度も高い。真相は時代を感じさせる部分もあるが、普遍性も含んでいる。
◎作品名 銀星号事件
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (グレゴリー警部)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆(競馬馬の消失、殺人)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★★☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
銀星号が消えたトリックも良いが、何よりホームズの推理、その論理展開とカレーと羊のヒントが鮮やかで素晴らしい!ホームズをみくびる傲慢なロス大佐をギャフンと言わせるのも痛快。
◎作品名 株式仲買店員
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ホール・パイクロフ ト)
③トリックの面白さ ★★★★☆ (高給で奇妙な仕事→強盗)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★☆
⑦冒険・アクション性★★☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
『赤髪連盟』『技師の親指』『ぶなの木立ち』に続く、"高給の奇妙な仕事"パターンの1本。特に『赤髪連盟』の"犯行現場から遠ざける"為の細工、という点は共通しているが、" ひたすら何かを書き写す"ことにも意味を持たせる進化形。なかなかの好編。
◎作品名 グロリア・スコット号
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ (ヴィクター・トレ ヴァー)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ ( 暗号の手紙 )
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性 ★★★★★
⑧結末の意外性 ★★☆☆☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
シャーロック・ホームズが大学時代、探偵を志すきっかけになった事件。若き日のホームズの肖像が嬉しく興味深い。暗号を使った謎の手紙がハイライト。長編の二部構成の短縮版に近く、後半の"過去の犯罪を明かすと脅迫され罪に及ぶ"『ボスコム渓谷の惨劇』等のパターンである。
◎作品名 マズグレーヴ家の儀式書
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★☆☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ☆☆☆☆☆
1番好きなキャラ (執事ブラントン)
③トリックの面白さ ★★★☆☆ (古代の暗号文→財宝探し)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
大学を卒業したホームズが、探偵を始めた初期の事件。代々伝わる古文書に記された暗号、というモチーフ、正気をなくした女やいきなり消える執事…と怪奇な道具立てに事欠かない。財宝に関する皮肉な結末も良い。
◎作品名 ライゲートの謎(ライゲートの大地主)
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ (フォレスター警部)
③トリックの面白さ ★★★☆☆
(強盗にみせかけた殺人、被害者の手に残 された紙片=暗号)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★☆
⑦冒険・アクション性 ★☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
疲弊したホームズの静養先での事件。ホームズが捜査中にする珍妙な行動が、神経が弱まった影響ではなく、意味があったという結末が素晴らしい。筆跡からの推理はさすがに少々飛躍を感じる部分もあるが鮮やか。
◎作品名 入院患者
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★☆☆☆☆
1番好きなキャラ (トレヴェリアン医 師)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (自殺に見せかけた他殺)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★☆☆☆
⑦冒険・アクション性★☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★☆☆☆
⑨総合評価 ★★☆☆☆
【ひとこと感想】
冒頭で、ワトスンの断り書きにある通り、何ともスッキリしない事件。強盗団の裏切り者を、刑期を終えたかつての仲間たちが粛清する。さすがのホームズも、少々精彩を欠く。
◎作品名 ギリシャ語通訳
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★★
1番好きなキャラ (マイクロフト・ホー ムズ )
③トリックの面白さ ★☆☆☆☆ (誘拐、監禁)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆
⑥奇妙な味度 ★★★☆☆
⑦冒険・アクション性★★★★☆
⑧結末の意外性 ★★☆☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
ホームズの兄マイクロフトの初登場!ワトスンが初めて会うシーンの、兄弟の会話はあまりにそれらしく、笑える。ギリシャ語通訳が依頼される、またもや"高給の奇妙な仕事"パターンだが、彼が巻き込まれる陰謀の凶々しさは比類なく、サスペンスも横溢。通訳しながら、相手から情報を聞き出すアイデアとスリルは素晴らしい。余韻の残る結末もマル。
◎作品名 まがった男
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ヘンリー・ウッド)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (言争いの中の謎のひと言、デイヴィッド)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆
⑥奇妙な味度 ★☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★★☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
またまた、いきなり夜中に現れてワトスンを事件へと誘うホームズ。軍隊-インド-陥れられた過去、『四人の署名』にも登場した現地人の反乱。陥れられた人物が犯人でなく(殺人でもなく)、もと恋人との悲恋がむしろ前面に出ていて切ない。
◎作品名 海軍条約事件
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ (パーシー・フェルプス )
③トリックの面白さ ★★★★★(文書を盗んだ犯人と、その隠し場所 )
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★☆☆
⑦冒険・アクション性★★★☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★★
【ひとこと感想】
国際問題に発展しかねない重大事件。秘密文書を盗んだのは誰か。小使とその妻など、レッド・ヘリングの配置も巧み。犯人の意外さも申し分なく、文書の隠し場所とそこに隠した理由…ホームズの指示が読者へのヒント。とにかく素晴らしい。
◎作品名 最後の事件
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★★
1番好きなキャラ (モリアーティ教授)
③トリックの面白さ ★☆☆☆☆ (モリアーティ教授による謀殺)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ★★★☆☆
⑦冒険・アクション性★★★★★
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★★
【ひとこと感想】
かの有名な最後の事件。狡猾かつ奸智に富んだモリアーティ教授の描写、悲愴なホームズ、ワトスンの友情。漲るサスペンス、ホームズとモリアーティの戦いを読者に想像させ、余韻をもって終わる結末も、いったんのシリーズ完結にふさわしい。
★シャーロック・ホームズの回想私的ランキング
1最後の事件
2海軍条約事件
3ギリシャ語通訳
4株式仲買店員
5黄色い顔
6銀星号事件
7ライゲットの謎
8まがった男
9グロリア・スコット号事件
10マズグレーヴ家の儀式
11入院患者
長編
◎作品名 バスカヴィル家の犬

①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★★
1番好きなキャラ (バスカヴィル )
③トリックの面白さ ★★★★★(伝承を利用した殺人)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ★★★☆☆
⑦冒険・アクション性★★★★★
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★★
【ひとこと感想】
改めて読んで、横溝正史『獄門島』や『八つ墓村』への影響を、如実に感じて嬉しかった。終盤は、倒叙推理の趣きもあり。完全無欠の傑作長編!
『シャーロック・ホームズの生還』

◎作品名 空家事件
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★☆☆☆☆
1番好きなキャラ (モラン大佐)
③トリックの面白さ ★★★★☆(ロウ人形で敵をおびき寄せる)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★★★★
⑧結末の意外性 ★★☆☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
約10年振りの、ホームズ生還!時系列順 に読んでいくと、ワトソンのリアクションも含めて大変感慨深い。復活第1作は、凄腕スナイパーとの対決という、冒険編。ホームズが仕掛けるロウ人形の「逆トリック」も面白い。(ハドソンさんがひと役買うのにニヤリ)ドイルの筆も、さらに円熟を増している。
◎作品名 ノーウッドの建築業者
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ
(ジョン・ヘクター・マクファーレン)
③トリックの面白さ ★★★★★ (隠し部屋、一人二役、指紋偽造)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★☆☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
ホームズ対レストレイド警部、の構図がはっきりと出た一作で、「奇妙な遺言」に加え「奇妙な建物」パターン。真相をあぶり出す、ホームズの茶目っ気たっぷりの演出も楽しい。
◎作品名 踊る人形
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ヒルトン・キュービット)
③トリックの面白さ ★★★★☆ (暗号解読)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ★★★★☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
踊る人形の、子どもの落書きのような無邪気さと、陰惨な暗号、殺人との禍々しい対比が素晴らしい。暗号解読の過程もスリリング。依頼人を殺害され怒りに燃えるホームズに、感情移入させられる。
◎作品名 あやしい自転車乗り
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ボブ・カラザース)
③トリックの面白さ ★★★★★(自転車でついてくる謎の男)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★★
⑦冒険・アクション性★★★★☆
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
美女のあとを距離を保ってついてくる、謎の自転車乗り…奇妙な謎が、一転陰惨な犯罪の様相を表す、その意外性!カラザースの報われない愛も切ない。
◎作品名 プライオリ・スクール
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ (ホルダーネス公爵)
③トリックの面白さ ★★★☆☆
(公爵の息子誘拐、自転車のタイヤ痕分析、牛の足跡に偽装する馬の蹄鉄)
④物語の面白さ ★★☆☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★★☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★☆☆☆
【ひとこと感想】
公爵の息子誘拐事件に端を発した殺人。沼地での、ホームズによる自転車のタイヤ痕分析は面白い。牛がいないのに、足跡がある不思議さの解明も意外だが、正直サブ・キャラクターがあまり好きになれず、切迫したサスペンスをあまり感じることが出来なかった。
◎作品名 ブラック・ピーター
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★☆☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (スタンリ・ホプキンズ)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (銛を使った殺人)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★★★☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
容疑者ジョン・ホプリー・ネリガンの濡れ衣を晴らす、ホームズの策略が痛快!彼の過去の因縁話はロマネスクで、この時代特有のものだ。犯人は特に細工をしていないことに注目。ドイル自身、鯨漁で海に出ていた時期があるので、身近な素材だったのではないだろうか。
◎作品名 恐喝王ミルヴァートン(犯人は二人)
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★★
1番好きなキャラ
(チャールズ・オーガスタス・ミルヴァー トン)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆
(殺人犯人は細工なし→ホームズ、ワトソンが後始末)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ★★☆☆☆
⑦冒険・アクション性 ★★★★★
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★★
【ひとこと感想】
恐喝王ミルヴァートンのキャラクターがまず秀逸で、モリアーティ教授よりリアリティを発散する名悪役!彼に、法の枠を越えて立ち向かおうとするホームズ、ワトソンの友情にも胸が熱くなる。復讐に是非はあれど、余韻の残るラストも素晴らしい。冒険枠の私的ベスト級。
◎作品名 六つのナポレオン胸像
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ (ホレス・ハーカー)
③トリックの面白さ ★★★★☆
(ナポレオンの胸像が次々壊される→じつ は、盗んだ宝石をその一体に隠していた)
④物語の面白さ ★★☆☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ☆☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
ナポレオンの胸像を壊して回る奇妙な事件から、陰惨な殺人へと発展する。トリックは現在となっては容易に予想がつくし、真珠盗難事件に関する言及が、謎解きの時点で初めて出てくるのもマイナスか。でもラスト、レストレイド警部の心からの称賛に、一瞬人間性を垣間見せるホームズの姿が感動的!
◎作品名 三人の学生
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (召使バニスター)
③トリックの面白さ ★★★★☆ (試験問題のカンニング、解明の過程が秀逸)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ☆☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★☆☆☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
NHK人形劇『シャーロックホームズ』の一編になってもおかしくない、大学でのカンニング事件。殺人のない事件に、明確な3人の容疑者で、珍しく(?)みごとなフーダニット!背の高さ、走り幅跳びのアスリートであるというヒント、そして意外な共犯者と、人情味ある解決。なかなか。
◎作品名 金ぶちの鼻眼鏡
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ (コラム教授夫人)
③トリックの面白さ ★★★★☆
(殺人犯人の失踪→じつは邸内に隠れていた)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
『すべてがFになる』的な…(笑)度の強い鼻眼鏡、コラム教授の食事の量、草の上の足跡…等々、秀逸なてがかりの数々が素晴らしい。ロシア革命が背景にある政治色は異色。
◎作品名 スリー・クォーター失踪事件
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (アームストロング博 士)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (ラグビー名選手の失踪 )
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ☆☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★★☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
犯罪に加担しているかのようなアームストロング博士が、結末で180度違う人物に変化するどんでん返しが面白い。人情家であり騎士道精神に溢れるヒーロー、ホームズの面目躍如。
◎作品名 僧坊荘園
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (クローカー船長)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (強盗に見せかけた殺人)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
物憂げなホームズが、分かりきった強盗殺人に納得できない点を見つけ、俄然捜査に乗り出す過程が読みどころ。ラストの私設法廷(?)での裁判も印象深く、考えさせられる。殺人というより、血闘の結果であり情状酌量の余地のある結末は、血なまぐさい事件の割に爽やか。
◎作品名 第二の血痕
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (トレローニ・ホープ 夫人)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (公文書紛失→殺人)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ☆☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性 ★★★★★
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
最後に、国際問題を惹き起こす恐れのある秘密公文書の紛失事件!スケールの大きな諜報戦…かと思いきや、大臣夫婦の愛の物語に帰結するところが、このシリーズらしい。絨毯の裏の血痕のズレから、それを動かしたことを見破る推理は鮮やか。
★シャーロック・ホームズの生還私的ランキング
1恐喝王ミルヴァートン(犯人は二人)
2あやしい自転車乗り
3踊る人形
3ノーウッドの建築業者
4空家事件
5第二の血痕
6ブラック・ピーター
7三人の学生
8スリー・クォーター失踪事件
9金ぶちの鼻眼鏡
10僧房荘園
11六つのナポレオン胸像
12プライオリ・スクール
長編
◎作品名 恐怖の谷

①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★★
1番好きなキャラ (バーディ・エドワーズ)
③トリックの面白さ ★★★★★(顔のない死体、一人二役トリック)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ★★★★☆
⑦冒険・アクション性 ★★★★★
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★★
【ひとこと感想】
第1部のダグラス殺人事件の顛末もトリッキーで素晴らしい。顔のない死体トリックと気づくと、容易に真相に行きつきかねないが、うまく粉飾されている。
また、ほぼ独立した第2部は、アメリカン・ハードボイルドの原型という石上三登志氏の説通り、『血の収穫』を彷彿とさせる。展開もスリリングで、結末の意外性も十分。通底するモリアーティ教授の脅威が、全編に暗い影を落とし、サスペンスを持続させる。傑作である。
『シャーロック・ホームズ最後のあいさつ』

◎作品名 ウィスタリア荘
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ベインズ警部)
③トリックの面白さ ★★★☆☆ (復讐殺人→返り討ちで殺される)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★☆☆
⑦冒険・アクション性★★☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
アリバイ作りの為に、利用されるスコット・エクルズ氏が可哀想。ウィスタリア荘に招待されるも、翌朝にはもぬけの殻で、招待主は別の場所で殺されている…素晴らしい謎。好ライバル、ベインズ警部も抜け目なく素晴らしい。ただ、某国の独裁者への復讐を狙う結社の存在など、後半個人的には、少々物足りない感じもした。
◎作品名 ボール箱
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ☆☆☆☆☆
1番好きなキャラ (なし)
③トリックの面白さ ★★★★☆
(塩詰めで郵送されたボール箱の中の耳二つ)
④物語の面白さ ★★☆☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★☆☆☆
【ひとこと感想】
何とも猟奇的で陰惨な物語だ。塩詰めで郵送された、ボール箱の中の耳たぶ二つ。『ブルーベルベット』?奇妙な味わいの前半から、ドロドロの愛憎劇の真相へと。珍しく隠微な雰囲気すら漂う。
◎作品名 赤輪党
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (エミリア・ルカ)
③トリックの面白さ ★★★☆☆ (奇妙な下宿人)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★☆
⑦冒険・アクション性 ★★★☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
部屋から出てこない、奇妙な下宿人の謎は なかなか魅力的。下宿屋の夫が連れ去られる不思議な展開も、面白い。秘密結社「赤輪党」が絡むも、犯罪の動機はほぼ私怨であり、悪党が殺される結末を肯定する傾向がある本シリーズは、明るく幕を閉じる。
◎作品名 ブルース=パーティントン設計書
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★☆
1番好きなキャラ (マイクロフト・ホームズ)
③トリックの面白さ ★★★★★(線路脇の死体、重要機密書類の紛失)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性 ★★★★★
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
国家機密書類を盗んで死んだ男。一国の存亡を賭けて、兄マイクロフトの依頼で事件解決に奔走するホームズとワトソン。死体移動のトリック、容疑者の提示、意外な犯人と極めてバランスのとれた逸品。
◎作品名 瀕死の探偵
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★★
1番好きなキャラ (ハドソン夫人)
③トリックの面白さ ★★★★☆
(細菌による殺人→感染したふりをして油断させる)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ★★★★★
⑦冒険・アクション性★★☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★★
【ひとこと感想】
瀕死のホームズと、助けんとするワトソンのやり取りを中心に進み、特にワトソンの心情が細やかに記されていて胸が熱くなる。犯人の邪悪さもなかなかのもので、こうなるしかない結末ではあるが、痛快そのもの。上位に位置する緊密な傑作。
◎作品名 フランシス・カーファックス姫の失踪
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (フィリップ・グリー ン)
③トリックの面白さ ★★★★☆ (姫の誘拐→棺に、死体と一緒に埋葬)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★☆☆
⑥奇妙な味度 ★★☆☆☆
⑦冒険・アクション性 ★★★★★
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
カーファックス姫の失踪を追うワトソンのパートは、ハードボイルドのよう。ロンドンで一敗地にまみれるホームズが新鮮!そこからの大逆転!『刑事コロンボ』の「溶ける糸」や「白鳥の歌」を連想した。
◎作品名 悪魔の足
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ (スターデイル博士)
③トリックの面白さ ★★★★☆(悪魔の足の根による毒ガス殺人)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ★★☆☆☆
⑦冒険・アクション性★☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
怪奇味横溢。被害者たちの死に様も壮絶で、サスペンス度も高い。第一の殺人の犯人が、第二の殺人の被害者となる、凝ったプロット。毒ガス実験の際、ホームズがワトソンに謝り一瞬人間味を見せるシーンなど、見どころ多し。好編。
◎作品名 最後のあいさつ
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ☆☆☆☆☆
1番好きなキャラ (なし)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆
(ドイツのスパイを騙す作戦)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性 ★★★★★
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
時系列での最後の事件。第一次大戦勃発に伴う諜報戦、アメリカ人の二重スパイを演じ、ドイツの大物スパイを引っ掛けるホームズ。かなり政治的な傾向を含んだ内容だが、引退後のホームズとワトソンが再会して終わる、その長年にわたる友情が感慨深く、それだけで嬉しい。
ありがとう、さようなら。ホームズ、ワトソン。
シャーロック・ホームズ最後のあいさつ私的ランキング
1瀕死の探偵
2ブルース=パーティントンの設計書
3フランシス・カーファックス姫の失踪
4悪魔の足
5赤輪党
6ウィスタリア荘
7最後のあいさつ
8ボール箱
『シャーロック・ホームズの事件簿』

◎作品名 高名な依頼人
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★☆
1番好きなキャラ (アーデルベルト・グルーナー)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆
(ワトソンが別人になり犯人を騙す→その隙に、ホームズが証拠物件を盗み出す)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性 ★★★★★
⑧結末の意外性 ★★☆☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
冒険活劇編。殺人鬼アーデルベルト・グルーナーの悪役ぶりが素晴らしく、その一味から追撃されながら満身創痍で戦うホームズもカッコいい。終盤における、ワトソンとグルーナーとのやり取りにもハラハラさせられる。
◎作品名 白面の兵士
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆1番好きなキャラ (ジェームズ・M・ドッド)
③トリックの面白さ ☆☆☆☆☆
(人間消失→擬似ハンセン病と思われ、密かに隔離されていた )
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆
⑥奇妙な味度 ★★★☆☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
何と、ホームズが記述者。ドッド氏が失踪した戦友を求めて、その実家に押しかけ謎を探るくだり、特に窓の外に白い顔が浮かぶシーンの妖幻さは格別。ハンセン病に関しては、当時ならではの誤解を感じるが…。
◎作品名 マザリンの宝石
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★☆☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ☆☆☆☆☆
1番好きなキャラ (なし)
③トリックの面白さ ★☆☆☆☆
(ホームズが蝋人形にすり替わり、秘密を盗み聞く→宝石のありかを突き止める)
④物語の面白さ ★★☆☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性★★☆☆☆
⑧結末の意外性 ★☆☆☆☆
⑨総合評価 ★★☆☆☆
【ひとこと感想】
戯曲が元になったという、三人称の異色編。「空家事件」の要素も混じっており、舞台劇の台本そのもの。今風に言うノヴェライズ、内容も二次創作っぽい。何とも、他の正典とは同列に評価出来ない。単体として見ても、蝋人形とのすり替わりはムリがあるか。
◎作品名 三破風館
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★☆☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★☆☆☆☆
1番好きなキャラ (イサドラ・クライ ン)
③トリックの面白さ ★★☆☆☆ (暴露小説を奪う為に、館ごと買い取る)
④物語の面白さ ★★☆☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★☆☆
⑦冒険・アクション性★★★☆☆
⑧結末の意外性 ★★☆☆☆
⑨総合評価 ★★☆☆☆
【ひとこと感想】
黒人ボクサーの脅しに始まり、ホームズは、三破風館のメイバリー夫人の依頼で、館ごと全てを買い取るという奇妙な申し出の謎を解く。黒幕イサドラ・クラインの、大金持ちならではの策略が面白い。ただし、過去の因縁は意外と薄味。悪党グループとのやり取りの方が印象に残る。
◎作品名 サセックスの吸血鬼
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ファーガスン夫人)
③トリックの面白さ ★★★★☆
(赤児の首筋から血を吸う母親→毒を吸い出していたという真相)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★★
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
吸血鬼という、怪奇趣味溢れる題材が素晴らしい。ファーガスン夫人が、血まみれで赤児の首筋に口をつけるシーンは凄絶。その真相もよく『Yの悲劇』を思わせる。家族の悲劇として終わる結末に感慨深し。
◎作品名 ガリデブが3人
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ネイサン・ガリデブ)
③トリックの面白さ ★★★☆☆
(珍しい名前ガリデブへの遺産相続の法螺話で、家から外へ→その隙に隠していた贋札製造機を手に入れる)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ☆☆☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★★★
⑦冒険・アクション性★★★★☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
珍しい名前ガリデブの人間が3人揃えば、遺産相続できるという奇妙な遺言パターン。『赤髪連盟』と似た話で、「いかにその場所から問題の人間を排除するか」。極端に珍妙な作戦だが、面白い。終盤、いきなり撃たれるワトソンの危機とホームズの心情が描かれ、一瞬転調。ここは胸が熱くなる。
◎作品名 ソア橋の怪事件
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★★☆
1番好きなキャラ (グレイス・ダンバー嬢)
③トリックの面白さ ★★★★★
(自殺を他殺に見せかける凶器消失トリック)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
最もトリッキーな作品のひとつ。冒険活劇ではなく、ニール・ギブソン、その妻、そして家庭教師ダンバーの三者の人間模様の謎にひたすら迫る。そのトリックは単純なだけに説得力があり、その後、横溝正史『本陣殺人事件』等にも影響を与えた。ニール・ギブソンとダンバー嬢の関係が、単なる不倫でないところに複雑な余韻がある。
◎作品名 這う男
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★☆☆☆☆
1番好きなキャラ (トレヴァー・ベネッ ト )
③トリックの面白さ ★☆☆☆☆
(奇矯な行動をする教授→原因は、猿の血 清の若返り薬だった!)
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆
⑥奇妙な味度 ★★★★★
⑦冒険・アクション性★☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★☆☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
奇妙なSF風ファンタジー。猿の血清で回春しようとする教授は涙ぐましいが、そのせいで"猿になってしまう"のが凄い(笑)結末はアレだが、そこに至るまでの禍々しい雰囲気や夜中に這い回ったり、3階の窓に教授が現れるシーンは鮮烈!夢に見そうなイメージ。
◎作品名 ライオンのたてがみ
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★★
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (イアン・マードック )
③トリックの面白さ ★★★★★
(クラゲの毒→ライオンのたてがみというダイイングメッセージ)
④物語の面白さ ★★★★★
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★☆☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★★
⑨総合評価 ★★★★★
【ひとこと感想】
ホームズ引退後の物語で、彼の記述。ワトソンは登場しない。じっくりとしたサセックスの風景描写や、丁寧な人間模様にロンドンでの若き日の事件とは、また違った落ち着いた趣き。 ホームズの人生のエピローグとしても素晴らしく、何と言っても「ライオンのたてがみ」というダイイング・メッセージが詩的かつ巧妙で、素晴らしい。
◎作品名 覆面の下宿人
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★★☆☆
1番好きなキャラ (ロンダー夫人)
③トリックの面白さ ★★★☆☆
(棍棒に釘を打ち、ライオンに噛まれたように見せかける )
④物語の面白さ ★★★☆☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★☆☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★☆☆☆
⑨総合評価 ★★☆☆☆
【ひとこと感想】
サーカス団における、過去のライオン使い夫婦がライオンに襲われた事件の顛末。生き残った夫人の打ち明け話を聞くだけで、特にホームズは推理しない。彼の人情家な面が色濃く出た作品。
◎作品名 隠居絵具師
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★★☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★☆☆☆☆
1番好きなキャラ (バーカー)
③トリックの面白さ ★★★★☆
(妻が愛人と、全財産を持って駆け落ち→ 実は2人とも殺害)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★☆☆☆
⑥奇妙な味度 ★★★☆☆
⑦冒険・アクション性★☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★★☆
【ひとこと感想】
収録順では最終作。妻が愛人と失踪したのに、なぜ部屋のペンキ塗りをしていたのか…魅力的な謎。また、ワトソンと隠居絵具師が偽電報で遠くへ出かけるくだりは、『赤髪連盟』や 『3人のガリデブ』の構図をひっくり返したパターン。
シリーズは鮮やかに幕を閉じる。
◎作品名 ショスコム荘
①ホームズ、ワトソンの魅力度 ★★★☆☆
②ゲスト・キャラクターの魅力度 ★★☆☆☆
1番好きなキャラ (バートン卿)
③トリックの面白さ ★★★☆☆
(財産を守る為に、病死した妹に替え玉を仕立てる)
④物語の面白さ ★★★★☆
⑤怪奇・サスペンス性 ★★★★☆
⑥奇妙な味度 ☆☆☆☆☆
⑦冒険・アクション性☆☆☆☆☆
⑧結末の意外性 ★★★★☆
⑨総合評価 ★★★☆☆
【ひとこと感想】
ドイルが執筆した、最後のホームズ短編とのこと。霊廟、暖炉の骨等、猟奇的な雰囲気。かなり巧妙に組み立てられたプロット。ラストは人生の不条理を考えさせる。
シャーロック・ホームズの事件簿私的ランキング
1 ライオンのたてがみ
2 ガリデブが3人
3 ソア橋の怪事件
4 高名な依頼人
4 サセックスの吸血鬼
5 隠居絵具師
6 這う男
7 ショスコム荘
8 白面の兵士
9 覆面の下宿人
10 三破風館
11 マザリンの宝石
…それでは最後に、全シリーズ(長編を含む)を通しての私的なランキングです。
全シリーズ(含む長編)私的ランキング
1恐怖の谷☆
2バスカヴィル家の犬
3瀕死の探偵
4恐喝王ミルヴァートン☆
5まだらの紐
5最後の事件
6赤髪連盟
7ブルース=パーティントンの設計書☆
7海軍条約事件
7ぶなの木立ち
8あやしい自転車乗り☆
9四人の署名
9ギリシャ語通訳
9唇のまがった男
9ライオンのたてがみ☆
10ボヘミアの醜聞
10ノーウッドの建築業者
10踊る人形
10フランシス・カーファックス姫の失踪☆
10ガリデブが3人☆
11ソア橋の怪事件
11悪魔の足☆
12株式仲買店員
12黄色い顔☆
13五個のオレンジの種☆
13空家事件☆
14緋色の研究
14第二の血痕
14赤輪党
14高名な依頼人☆
14サセックスの吸血鬼
15ブラック・ピーター
15隠居絵具師☆
16ウィスタリア荘
16ボスコム渓谷の惨劇
16銀星号事件
16ライゲットの謎
16まがった男
16三人の学生☆
17独身の貴族☆
17スリー・クォーター失踪事件
18最後のあいさつ☆
18僧房荘園
18技師の親指
18這う男☆
19グロリア・スコット号事件
19金ぶちの鼻眼鏡
19ショスコム荘
20青い紅玉☆
20六つのナポレオン胸像
20白面の兵士
21ボール箱
21緑柱石宝冠事件
21マズグレーヴ家の儀式書
22プライオリ・スクール
22覆面の下宿人
23花婿の正体
24入院患者
24三破風館
25マザリンの宝石
…ご精読、ありがとうございました。
【 追記 】

※今回の記事の表題「I'd Love To Change The World」は、イギリスのロック・バンドTen Years Afterが1971年にリリースした曲のタイトルです。
(日本でのリリースは「チェンジ・ザ・ワールド」)
I'd love to change the world
But I don't know what to do
So I'll leave it up to you
これは、聴く側が一方的に、バトンを渡されたということなのか…?(笑)
でも、この10年間というスパンで考えても、ひとつとして留まっているものはなく、世界は一瞬一瞬、ダイナミックに変転をし続けているのは間違いありません。
出来得ることなら、良い方向へ変えて、又変わっていきたいものですね。
何はともあれ、これからもよろしくお願い致します。
『恐怖の谷』が一位だったり、一般的なランキングとは趣を異にしているようですけれど、それがまたいいです。私も『恐怖の谷』の世間的評価の低さには納得いかないものがあったりしますので、ちょっとニンマリでした。
拙ブログでも角川横溝あたりでこんな企画やってみたいですが、さすがに今はむりっぽいです(笑)
これからも楽しみに読ませて頂きます。
しかし、このホームズ採点表は素晴らしい。まさに労作です。ホームズは久しく読み返していないので、ガイドとして再読しようと思います。多謝。
IMDb で見ても、日本だけではなく本国イギリスを初めアメリカ、中国、台湾、ロシア等々…劇場で公開されているのは、一刻も早く観たい!というファンの声が反映されているのでしょうね。しかし、全体の構成的にここまで…とは思わず、吃驚したのも事実です^^; 宣伝の仕方をもう少し工夫された方が良かったかなあ。
読書感想文、お恥ずかしい限りです。書いた通り、日々酷くなる物忘れ対策で…そう言って頂けると恐縮はするものの嬉しいです。
これからも、よろしくお願い致します。
これからも、よろしくお願い致します。
優れたホームズのサイトは、恐らく膨大な数にのぼると思いますので、色々見比べて、ぜひ…^^; また、いらして下さいね♪
いつもコメント戴き、嬉しいです。
ミステリ専門や映画専門のブログやサイトは数あれど、こちらほど、一つ一つの記事の完成度が高いブログは、そうそうないと思います。
これからも、充実した内容を期待しています。
ホームズ採点表も労作ですね。
僕のホームズのベストは、『バスカヴィル家の犬』でしょうか。伝奇的な内容のものの方が、ドイルは筆が立っているような気がします。
基本、皆ホームズは全編好きだと思いますので^^; 読み進めるモチベーションのアップのためのランキングではありますが(長編も含めベスト20位までは全てお気に入りで甲乙つけ難いです)ひとつの趣向としては面白いのではないかと思います(^-^)
お互いの好みや選択に至る思考を辿るのも楽しいですよね。
これからも、よろしくお願い致します。
100万アクセスですか…すごい^^;
シャーロック・ホームズシリーズは、まだ『思い出』までしか読んでないので、感想も該当の部分まで見て、とても楽しかったです!
続きは全作品読んでから、また閲覧させていただきます^o^
コメントありがとうございます!
100万アクセスって…10年間ですからね^^;
そんなに多くありませんm(_ _)m
これからも、ぜひお越しになってくださいね。よろしくお願い致します。