祝・復刊!『横溝正史読本』小林信彦・編 歴史的名対談!

・復刊!
『横溝正史読本』 小林信彦・編

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皆様こんにちは、めとろんです。

先月25日、歴史的名著である小林信彦・編『横溝正史読本』(角川文庫)が、ついに復刊されました!誠におめでとうございます!(パチパチ)


◇この『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』にも匹敵する歴史的名対談。

―片や、戦前は探偵小説の興隆に多大な貢献を果たした雑誌『新青年』編集長であり、『鬼火』等の作品で耽美浪漫の妖しい華を咲かせ、一転戦後は金田一耕助を探偵役とした本格探偵小説の名作を次々と発表した"探偵小説一代男"、横溝正史。

―対するは、元『ヒッチコック・マガジン日本版』編集長であり、『オヨヨ大統領』シリーズや『神野推理』シリーズ(ファンでした!)や、『世界の喜劇人』『日本の喜劇人』、『コラムは笑う』等の評論活動、また放送作家の草分け的存在でもあるサブカルチャー界の巨人・小林信彦。

◇横溝正史自身が巻頭の『序にかえて』で
「私を相手としての対談では、量といい質といい、今後これ以上のものは出ないのではないかと思う。」
…と言わしめたその充実ぶりには、目を瞠るものがあります。この本こそ、僕を本当の意味で"横溝正史ファン"にさせた罪深い一書なのです。(笑)
本書のメインである対談『横溝正史の秘密』は、

第1部 「新青年」編集長時代から喀血まで
第2部 自作を語る
第3部 同時代作家の回想
第4部 クリスティーの死と英米の作家たち


…の4部で構成されており、どの項も大変興味深い内容が満載です。ファンには第2部"自作を語る"が垂涎もの。正史自身が、『本陣』『蝶々』『獄門島』etc…、数々の名作群の誕生秘話を、自ら語り尽くして圧巻です!

◇僕が強く惹かれるのは、第1部の"「新青年」編集長時代から喀血まで"と第3部"同時代作家の回想"で語り残された、『新青年』編集長・横溝正史が活躍した時代の出版界とその青春群像です。
小林氏の用意周到なリードに拠るものかも知れませんが、ひじょうに生き生きと語り出される昭和初期の人々の肖像―オンちゃんこと渡辺温氏や真野律太氏、長谷川修二氏、そして(不謹慎にも)一番面白い中村進治郎氏(笑)など、破天荒なのにナイーヴな、何とも言えない魅力を感ずるのでした。
この部分を、誰かぜひ映画化していただきたい!
(僕の妄想は以前の記事を御参照を(笑))

第3部ではやはり、小栗虫太郎氏と夢野久作氏の項が抜群に面白い。
特に、この対談のために正史が『ドグラ・マグラ』読み返そうとして死にかけた話が、初読時まだ少年だった僕に、決定的な恐怖を植え付けたのでした。(笑)夜中に書庫のガラスを割りひっくり返っていた正史を発見した横溝夫人曰く、
「それで、手拭いを引っ張り出すんですよ、ご不浄の手拭いを。おれ、これで首吊って死のうと思ったんだって言うんですよ。」
正史「『ドグラ・マグラ』読んで、頭が変になっちゃったらしいんだね。だから、おれはまだ相当感受性が強いなと思って、安心したよ。(笑)」
-いや、もの凄い感受性ですよね。(笑)自分も、もっと若い時分に自身の感受性の強さに悩んだ時期があったのですが、横溝正史のこの言葉に、随分助けられたものです。
おそらく僕にとってこの本は、永遠に「座右の書」であり続けるでしょう。

◇さて以前の版では、巻末の年譜(島崎博・作製)は昭和54年までしかなかったのですが、今回の復刊では昭和54年以降~平成20年までが、研究家・浜田知明氏によって細かく補完されています!

復刊を機に、新装版の味もそっけもない装丁に変えられてしまうのではないかと残念に思っていたのですが、旧版の傑作表紙そのままで安心、感謝。
僕も古い版を持っていたのですが、思わず2冊購入してしまいました。(笑)
未読の方も、既読の方もぜひ!

この記事へのコメント

  • イエローストーン

    めとろんさん、こんばんは。
    この本、とても興味があります。

    思わず2冊購入されたのですね。
    私は、映画はけっこうみているのですが、本にはまったく詳しくはないので、ついていけるかどうかわかりませんが、読んでみたいですね。
    2008年10月01日 21:10
  • めとろん

    いらっしゃいませ!イエローストーン様。

    『横溝正史読本』、ぜひ読んでみて下さい!特に予備知識がなくても面白い読み物になっていると思いますし、ファンでしたら尚更だと思います。収録されているエッセイ『探偵茶話』も貴重で一読の価値あり。全力をあげて、おススメ致します!
    2008年10月04日 10:22
  • よーくろ

    こんばんは、お久しぶりです。
    この本、いつか買って読んでみようと思いつつ、実現せずに現在に至っております。一時絶版していたのですね…。復刊(しかも年譜増強!)は嬉しいニュースです。
    表紙は杉本一文さんでしょうか?だとしたら、これを機に他の作品でも、かつてのあのおどろおどろしい表紙を復活して欲しいところです。
    2008年10月19日 17:22
  • めとろん

    いらっしゃいませ!よーくろ様。

    そうです!まさに杉本さんです。オリジナルそのままの表紙で嬉しかったです。他の作品、正直言って本当に味気ないですよね。
    確かに『蝶々殺人事件』などのようにヤバい!(笑)…作品もありましたが。僕も復活を望む一人です。
    2008年10月22日 22:30
  • ブタネコ

    へぇ、復刻版が出てたんですね…

    知らなかった。^^;

    2008年10月27日 02:33
  • めとろん

    ブタネコ様、いらっしゃいませ!

    そうなんです。復刊されていたんです(笑)この本、一時はネットオークションでも吃驚するような高値で取引されていましたよね。
    今回の復刊は、ファンとしても本当に喜ばしいことだと思います。

    何より、巻頭に掲げられた横溝翁の写真の笑顔が素晴らし過ぎ(笑)ではないかと…。
    2008年10月31日 00:02

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